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第106号(2010年6月〜7月号)

106号
連載
●書かれなかった遺書J「井上ひさし------我が愛しの遅筆堂」 矢崎泰久
●シティライツ・ノート「君こそは友という仲ではなかったけれど・・・」 本間健彦
*表紙画・ポケットパーク 成田ヒロシ

路地裏の天守閣
一九七〇年頃、恵比寿の町を流れる渋谷川沿いの通称「タコ公園」近くに建つオンボロアパートに住んでいました。物干し台から降りる非常階段は途中で腐って壊れ、消防署員も「緊急のときは隣りの家の屋根にとびおりて下さい」と指示するほどの素人の発想と技術が強引に形になったような建物でした。
アパートとはいっても四畳半、六畳というまともな間取り部屋ではなく、手作り感あふれた、広さはこれ位かな、とアバウトでアバンギャルドな空間でした。
二階家の高さなのに内部は三層、四層の木造モルタル蟻の巣造り。
 物干し台横のトタンのバラック小屋は今思えばまさに天守閣。手すりの壊れた屋上から恵比寿の町を見渡せば、モンパルナスかグリニッチビレッジ、流れる雲はヒマラヤを越えて、バラック小屋には魂のエコーが響き、夢見る想像力の筋肉を鍛えるには最高の場所でした。
 迷宮のようでヘンテコで、常識はずれで過激で不思議な建造物に巡り合わせてくれた神様に感謝を忘れることはありません。
 部屋はそこに住む人の皮膚の広がりなり、と誰かが書いていましたが、まさにその通り。
 人は住む場所を作り、住む場所によって作られたりもするのだ、と時々思ったりするのです。
●流れる雲に似て 25 「鉛筆画伯の旅立ち」 安住孝史
●ひらく本ひらく世界 24 「高く飛ぶ夢」 神田真理子
●俳句散策帖 42 「私の愛誦句(二十八)」 丹沢亜郎
●草森本詣で 6 「本の洞窟・迷宮の穴を逍遥し続けた旅人」 渡部幻
●田舎電車に乗ろう 22 「おばこ号で鳥海山を見に行こう」 伊達哲也
●人と街と建築 23 「林芙美子邸と山口文象」 上山恵三
●俺たちに明日はあるのか 41 「首縊りの木」(その二) 小見憲
フォトコラム
「前衛あーちすと。」 アビコノコ

日時: 2010年06月21日 14:34