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古川豪に見たフォークの健在

古川豪に見たフォークの健在     本間健彦

☆先日、京都在住のフォーク歌手古川豪さんのライブコンサートが西新宿の某所であるというので出かけてきた。古川さんの歌はささやかで素朴な日常の営みや思いを軽やかな調べで抒情的にうたっているものが多い。意外だったのは『ホタルの海』『海へ十二月』『若狭にて』『ウツボとタコ』など海をテーマにした歌が多いことだった。というのは古川さんは京都のひとで、京都には海がないものと勝手な思い込みをしていたからだった。でも、地図を見ると、京都にも(正しくは京都府というべきなのかな)海があるんですね。だから休日や時に思い屈したときなどは、豪さんも<鯖街道>をドライブして若狭の海に出かけているのでしょうね。
☆古川豪さんは、京都の北の外れの静かな商店街で薬屋さんを営んでいる。お父さんの代を継いだ生業の薬屋さんである。町の薬局は「チェーン店や大きな病院などの調剤をしている店の攻勢を受けて経営は大変ですよ」と豪さんは言っていた。この夏、「高田渡紀行」の取材で京都の古川豪さんを訪ねた際、店先で話を聞いたのだが、2時間程の間に近所の主婦らしい三人のお客さんがあったけれど、売れたのは香取線香と目薬が二組だったかな・・・・。お客さんが来ると、取材は中断することになるのだが、私は店主のように来客がうれしかった。そんな薬屋さんの主人でもある豪さんは、<商店街の女の 意気地 きばり はり切り/ねばり 切り盛り しゃべり やりくり/うつむいてなんかいられない/足をふんばり 背筋しゃっきり>(『ふつうの街の女』)などといった商店街の応援歌みたいな歌もうたっていた。「じつは大切なギターを売ってしまいまして、これは東京の友達の借り物なんですよ」トークで豪さんは客を笑わせていたけど、まあ、あれはジョークだったのかな・・・。
☆その京都取材のとき、やはり高田渡の古くからの歌仲間だったという藤村直樹さん、ひがしのひとしさんにもお会いした。藤村さんは大病院の医師、ひがしのさんは鍼灸師だという。藤村さんは今年、老人医療制度に怒る人々をテーマにした『老人は国会突入を目指す』というCDをレコーディングしたが、早々に放送禁止歌になってしまったとか。無念にも高田渡さんは逝ってしまったが、京都の仲間たちは今も生業の合間に歌い続けている。そういう風に歌い続けていけるのが、フォーク・ソングの特性で、いいところなのだろう。(『街から』96号 2008.10.10)

日時: 2009年02月09日 17:30